北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その8(父親の控訴審判決)

(記事作成:2026年02月01日)

起訴状によると、男性被告は女性被告(30)と一緒にのこぎりを購入するなど殺人を手伝ったとされる。(殺人幇助)
さらに事件後、自宅に頭部を隠すことを容認したほか、女性被告(30)が頭部を損壊する様子をビデオで撮影した罪にも問われている。(死体損壊幇助)

初公判(2025年01月14日)

被告はと起訴内容を否認し、無罪を主張した。
「私は事件が起きて娘の犯行を知った。ビデオ撮影も直前まで何を撮影するかわからなかった」

<検察の冒頭陳述>
女性被告(30)が被害者と出会いから犯行当日までの経緯の説明。
(これについては母親の公判を参照してください。省略します。)

・「女性被告(61)と被告は女性被告(30)の機嫌を常にうかがうなど女性被告(30)中心の生活だった」と指摘。さらに、「女性被告(30)は被害者の男性と会う約束した日に被告に『ディスカッション』を求めていて、その後、被告が凶器の折りたたみナイフなどを買っていることから、被告は女性被告(30)の殺害計画を事前から知っていた」などと主張したとのこと。

<弁護側>無罪を主張
・女性被告(30)よる殺人や死体損壊の意図を事前には知らなかった以上、ほう助罪は成立しないと主張
・女性被告(30)が自宅に被害者の頭部を持ち込んだ時点で、死体遺棄という犯罪行為は終了しており、被告が死体遺棄をほう助したと認定することはできないと主張

第2回公判(2025年01月15日)

<検察側証拠調べ>
・現場のホテル室内で自ら撮影していた動画をもとに、女性検察官が女性被告(30)役に、男性検察官が被害男性役になって、殺害時の状況を再現したとのこと。
概要としては
被害者の両手を結束バンドで縛り、アイマスクで目隠し状態で、被害者が椅子に座り。
女性被告(30)が被害者に対して、「人生で一番反省した事は、私との約束を破った事(避妊しなかったこと)だよね?」と聞き
被害者が「あんなに怒られたことはないもん」と答えると
後ろから女性被告(30)が2秒間で9回、首を突き刺した。
そのとき被害者は「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝罪の言葉を発した。
その後、浴室を掃除する様子がビデオに記録されていた。

第3回公判(2025年01月21日)

<検察側証拠調べ>
・事件後、被告のインターネットアカウントの検索履歴に『ホルマリン購入』『大脳サイズ大きさ』など、事件にかかわるようなキーワードが残っていたとのこと。
・父親と娘と男性3人が会話する動画(事件前の6月に撮影されたもので修被告のスマートフォンに保存)
(酔った女性被告(30)が車で待つ被告に被害者とは別の男性と「ホテルに寄る」と伝え、被告が「娘は酔っている。トラブルが無いように」などと男性に伝える様子が映っていた)
・被告がビデオ撮影する前の女性被告(61)とのラインのやり取りを、あかした。
やり取りでは女性被告(61)が「充電の調子はいかが?」と聞き、被告が「あともう20分くらいです」などと会話していたとのこと。

第4回公判(2025年01月22日)

<弁護側証拠調べ>
・スマホでの「殺人時効」という検索について、同じ時間帯に被告がスマホのSNSで仕事相手とやり取りをしていることから、その途中に被告が検索したと考えるのは不自然なこと。女性被告(30)が普段から被告のスマホやアカウントを使って検索することがあるため、被告が検索したとは限らないと主張した。
・自宅から押収された24本の刃物のうち6本が女性被告(30)が被害者と初めて会うより2年以上前に購入されていたことなどを示したとのこと。
・取り乱した女性被告(30)が英語交じりに大声で叫ぶ様子の録音などを証拠として示した。
(多重人格の時の会話)

・被害者遺族の調書も読み上げられた(被害者の妻、被害者の長男)

第5回公判(2025年01月29日)

<証人尋問>女性被告(61)
・被害者への謝罪
・女性被告(30)は「激しく怒るとと止められず、自分で自分に燃料を投下するように怒るので、離れて落ち着くのを待った」できるだけ介入しすぎないようにしていた。
・しかし、女性被告(30)が過剰な要求をした時は、断ったり注意したりしたこともあったとのこと。
・被害者と女性被告(30)の間のトラブルについて
「女性だと思ってついて行き、カラオケだと思ったらホテルだった。どうやって逃げ出したらいいかわからなかったと怒っている様子だった」
「1週間かけて、娘の主張が『ちゃんと謝ってほしい』『いかに女性にとってひどいことなのかわかってほしい』『探したい』に変わっていった」

第6回公判(2025年01月30日)

<証人尋問>女性被告(61)
・小学生の時、女性被告(30)は不登校だった時期があった。
・「小学校5~6年生の時に家庭教師をお願いしました。高校生の時にほかの人は単位をとって卒業できたけど、娘が卒業できないことがあって『どうしてできないんだろう』と口に出してしまいました。その日を境に距離をとるようになりました」
・「ディスカッション」などの言葉について、「単にその日の行動をどうするか話し合うもの」「娘が言った英単語をそのまま送ることが多かった」などと話し、「夫婦が被害者の殺害計画を事前に知って打ち合わせし女性被告(30)を手助けした」という検察側の見立てを否定した。

第7回公判(2025年02月04日)

<証人尋問>女性被告(61)弁護側
Q:女性被告(30)がどのように供述しているか?知っているか?
A:弁護人からは、動機どころか事件を起こしたという話もしていなくて、「首を拾っただけなのに」という最初の話から進んだことは何もなく、なぜ自分は外に出られないんだと言っていると聞いているとのこと。

<被告人質問>弁護側
Q:頭部を初めて自宅で見たのはいつか?
A:「事件の報道があった7月3日から、撮影が行われるまでのどこかとしか言えない」
Q:なぜ娘に頭部を持ち帰った理由を聞かなかったのか?
A:「普段から通常の親子関係としての会話が成立しづらく、聞いても理解可能な答えが返ってくるとは思えなかったので、聞くことを諦めてしまった」
Q:娘が犯行に至った理由は何だと思うか?
A:「精神的な問題が、相当影響しているのではないかと思います」

第8回公判(2025年02月05日)

<被告人質問>弁護側
Q:なぜビデオ撮影を止めようと娘に言わなかった?
A:「言わなかった」あまりに常軌を逸した状況。「これは(娘に)何を言っても通じないな」と。
Q:なぜ娘を警察に通報しなかった?
A:「娘にとっては私と妻だけが窓口、身内。その2人が警察に突き出すなんてことはできなかった。親が突き出すとなったら本人は絶望するだろう。被害者ご家族のことを思うと大変申し訳ないですが(警察に)突き出すことはできなかった。」

<被告人質問>検察側
Q:事件の数週間前に被害者と再び会うと言った娘に対し、なぜ会わないようとがめなかったか?
A:「長く引きこもりで一人で何もできない娘が、一人でクラブに入ってアポまで取った。それが好ましくないことであっても、とがめることはできなかった」

第9回公判(2025年02月06日)

<被告人質問>弁護側
Q:娘は23歳から26歳までクリニックに通っていたが、その後通院をやめたのはなぜか?
A:理由は三つある。一つ目は、信頼していた先生が倒れてしまった」
「二つ目は、コロナ禍で初診の予約が取りづらかった。取れても何カ月も先になることもあった」「三つ目は、夜中に本人が「つらいから病院に連れてってほしい」ということがあったが、行くところがなかった。娘と波長が合う良い先生との巡り合わせがなかった」

<被告人質問>検察側
Q:事件当日、自分のスマートフォンを家に置いたまま外出した理由は?
A:忘れただけ
Q:事件当日、自宅に帰る時に氷を8袋購入した理由は?
A:「娘から言われて買ったが、使い道は知らされていなかった」

<被告人質問>裁判長
Q:あなた自身の人生も今後、相当な苦労があると思うが、どのように生きていかれるのか?
A:「被害弁償、そして娘を親として支えていかなければならない。私自身が社会にどのようなポジションを与えていただけるのかは分からないが・・・妻とともに背負って生きていく所存でございます。」

論告求刑公判(2025年02月18日)

<遺族の意見陳述>被害者の妻
・「親として自ら何もできないなら、人として警察に通報するべきではないか。家族で過ごすというのなら、残忍なことをする娘を止めるべきだった。警察に通報するべきだった。被告が人としてできる最後のことは、自らがしたことを認めることだ」
「被告は裁判の中で『後悔しない』と話しましたが、反省してほしい。もし警察が逮捕できなかったらどうなっていたのだろうと思う。被告たちが家族の時間を過ごし、ほかの犠牲者が出ていたのではないかとも考えます」

<遺族の意見陳述>被害者の息子
・「娘一人に罪を押し付けるだけでなく、自らの責任を認めるべきだと思います。男性被告(60)にできるだけ重い刑を望みます」

<検察側論告>
・女性被告(30)が男性と会う約束をした同年6月18日以降、被告がナイフやキャリーケース、漂白剤など女性被告(30)の計画に必要な物を次々に購入したと指摘。家族で話し合う「ディスカッション」で事前に殺害計画を把握したとした。
・被告が「道具を提供し、女性被告(30)を送迎し遺体を回収していたことが「ほう助」に該当するのは明らか」と指摘。
「女性被告(30)にどこから遺体を持ってきたのか、確認していないのは、犯行の計画を事前に知っていたからだ」などとして懲役10年を求刑したとのこと。

<弁護側弁論>
・「女性被告(30)の殺意や計画を知っていたと示す証拠は全くない。損壊行為をビデオ撮影したことも遺体損壊のほう助にはならず、いずれの犯罪も成立しない」として全面無罪を求めたとのこと。

判決公判(2025年03月12日)

・札幌地裁は懲役1年4か月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
「事前に女性被告(30)から相談を受け、殺害計画を明かされていたとは言えない。女性被告(30)と事件前の関係に戻らない限り再犯の見込みがないから執行猶予が相当と判断した」とのこと。
・「女性被告が死体を遺棄することを知りながらそれを容認し、ビデオ撮影で損壊行為も容易にさせた」として、死体遺棄と損壊のほう助の罪を認定したとのこと。
・殺人のほう助については「何らかの犯罪行為に及ぶことは認識していたと言えるが、殺人に及ぶことを認識していたとまでは言えない」などとして認定しなかったとのこと。

控訴審初公判(2025年11月04日)

・検察側は事前に犯行計画を知っていたと殺人幇助を主張。
・弁護側は計画を知らなかったなどと無罪を主張。
・男性被告は出廷せず、わずか10分で即日結審した。

控訴審判決公判(2026年01月27日)

・札幌高裁は1月27日、懲役1年4か月・執行猶予4年とした1審を破棄し、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡したとのこと。
・札幌高裁は「死体遺棄は頭部を自宅に運び込んだ時点で終了している」と判断。父親が保管を黙認したことや、眼球入りの瓶を娘から見せられたあと「すごいね」と発言したことも「犯意を強化したとはいい難い」として、死体遺棄ほう助の成立を認めなかった。
・娘が頭部を損壊する場面をビデオ撮影した行為については「死体損壊の犯意を強化する重要な要素だった」として、死体損壊ほう助罪については、成立を認めたとのこと。
・札幌高裁は「父親は積極的・主体的に犯行に及んだわけではなく、娘の女性被告(30)の意向に従って従属的に関与した」と判断。「実刑以外の選択が許されないほど悪いとはいえない」として、一審より刑を軽くしたうえで執行猶予付きの判決したとのこと。

ASKAの考察

一審の裁判員裁判では裁判員の方は判断にご苦労されたかもしれませんね。とても常識ではかれるような家族ではなかったのですから。お疲れ様でした。

考察についての大体のところは、前回の母親の一審公判のページで書いていますが、付け加えるとすれば、加害者家族としてのあり方なんでしょうね。
一般的な加害者家族は、事件が起きて、それまで何もしらなくて、報道などで事件の全容を知るわけですね。あるいは、事前に警察からある程度の情報を得て、報道される前に引っ越しの準備とか、転校とか準備を進めて、なんというか、事件に対する防衛戦みたいな形で身を潜めていく感じなんでしょう。

この事件が一般的な事件と違うのは、事件が報道された時点で、娘の犯行を直感した事でしょうね。
それ以外にも、被害者の頭部を自宅で見せられたりすれば、もう、娘の犯行は確信したでしょう。
検察側や、遺族が事件を知ったなら、娘の犯行を通報するべきだったと言う指摘はごもっともです。
ただね・・・この事件はそれだけでは終わらないんですよ。娘の両親は通報しなかった代償としてこの世の地獄を見せられた。母親は寝室の近くに被害者の遺体の一部の瓶詰めを置かれた。父親は頭部を損壊するシーンのビデオを撮影させられた。一般人にすればこれだけでも相当なストレスだったはずですよ。
だから、娘への愛情がなければ、とっとと通報してこの地獄を終わらせていたはずです。

究極の家族ガチャのハズレです。父親の地位も名声も吹っ飛びます、今の生活も続けられないでしょう。
それを覚悟しても、最後まで娘と一緒にいる時間を引き延ばしたかったんでしょうね。
もしかすると、両親はいつか、娘と一緒に生活できなくなる事を予感していたのかもしれませんね。
まー、今回の事件を起こさなくても、自傷行為や、別の他害事件などおこれば、入院と言う事になる事はどこかで覚悟していたのかもしれません。この多重人格も完治(寛解)しないだろうと言うのもあったのかもしれません。

普通の家族なら、「娘の為(更生)を思って通報する」と言う事も十分にあったのでしょうが、普通じゃない家族、非日常を生きている家族には、それよりも「娘との時間」を優先してしまったんでしょうね。

とは言え、私たちも無関係とは言えないかもしれない。このガチャは確率の問題だから、例えば千人に1人とか、万人に1人とか言う確率でも、それを誰かが引くわけですからね。自分や自分の親類が引く可能性はゼロでは無いわけです。その時がきたら、自分ならどう判断するか?なんて今から考えたくも無いかな。その時が来ない事を祈るしかないのかもしれませんね。

参考リンク

北海道札幌市ススキノ首なし殺人事件その7(母親の一審判決)
わが家の母はビョーキです

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