山口県宇部市広域ガス漏れ事故

(記事作成):2025年12月06日

事故概要

No.項目内容
1発生日2025年12月04日6:00頃
2場所山口県宇部市中心部
3概要4日6:00から8:30にかけて、63件の通報があり、21件の火災が発生した
ガスの元栓を締めていてもガスが漏れた事例も発生
コンロの火は30センチも伸びていたとの事
4被害規模22件の火災、2人が軽い火傷、避難中に手首骨折女性1人(2025年12月05日時点)
5原因山口合同ガスによると工場からガスを供給する途中にある整圧器(ガバナ)の一つに異常が生じ、通常の12倍の圧力でガスが管を流れたことがガス漏れの原因と説明した。2月に点検した際には異常がなかったとのこと。
各家庭のガスメーターはガス圧力が低下すると自動停止するが、上昇した時の停止は想定していなかった。

時系列

月日時刻内容
202512/045:44山口合同ガス宇部支店で整圧器(ガバナ)の異常が発報(アラーム)
6:00ー8:30火災の通報(22件の火災が発生)
9:30山口合同ガスが市内1万2500件のガス供給を停止(25カ所の正圧器を停止)
一部でガスの供給を再開(200カ所で再開)
12/05復旧作業を開始、5日は3200件を復旧目標

報道情報

・山口合同ガスには4つの工場がある。
・工場から宇部しないまでガス管が伸びていて市内には29カ所の整圧器がある。
・栄町の整圧器に異常が発生し、通常の12倍の圧力でガスを供給した。
・故障が発生したのは1カ所だが、ガス配管は全体が接続されている為、広範囲で高圧力になった。
・山口合同ガスは家庭の元栓を閉めていても、設計圧力以上の圧力がかかった為、古い器具などでは圧力に耐えられずにガス漏れが起きたのではないかと推測している。
・一般的に、ガスの圧力が上昇した場合に作動する「緊急遮断弁」と言う装置が存在するが、山口合同ガスでは29カ所中19カ所にこの「緊急遮断弁」を設置していなかった。
・故障した整圧器は2025年2月5日に分解点検を行った時には異常は無かった。
点検時にパッキンなどは交換している。
・故障した整圧器は1980年に設置した物(設置後45年)。6年に1度の分解点検をしていた。(点検は法定義務)
・山口合同ガスは老朽化は原因ではないと説明している。

ASKAの感想と考察

この事故を聞いて、最初に思ったのは「フェイルセイフ」とか「安全装置」ってどうなってるの?と言うことでした。
フェイルセイフと言うのはITパスポートでも出題されると思うのだけど、ざっくりと説明すると、「何かが故障した時、安全側に動作するように設計する」と言う設計思想ですね。

で報道を見ていくと、「各家庭に設置されているガスメータは圧力が下がった時には供給を停止するが圧力が上がった時の事は想定していない」と言う事でした。
各家庭に設置する物で数量も多くなるから、他に手段があるなら、ここにコストを掛けるよりも良いと言う判断はあるでしょうね。

で更に報道を見ると圧力が上昇した時に動作する「緊急遮断弁」と言うのがあって、29カ所中19カ所は設置していなかったと言う事でした。
ガス会社も言ってますが、この装置が全てに設置されていれば、この事故は発生してなかったんですね。

それを見ると、コストなどの理由で設置を先送りしていたのかな?とか、あるいは、5カ年計画の1年目でしたとか、事情があるかもしれないですね。

事故ってそういう隙を見逃さないんですよね。
今回は不幸中の幸いで、死亡者や全焼、半焼など被害の大きな人は居なかったようですが、対応方法が分かっているなら、あとはやってもらうだけですね。

ただし、この結果はあくまで偶然で「運が良かっただけ」だと思います。
逆に最悪のケースだったら、宇部市の中心部が大火災で火の海になって、死者が二桁は出ていたかもしれません。

そう考えると、かなり怖い事故なんですよね。元栓を締めてもガス漏れするなら、ユーザー側では防ぐ方法が無いですからね。

コメント

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