凶刃-ああ、我が子・真木人は精神障害者に刺し殺された!!

凶刃: ああ、我が子・真木人は精神障害者に刺し殺された!! (アマゾンのリンクです。)
2005年12月6日に28歳で精神障害者に殺害された男性のご遺族一家が書いた、事件の手記ですね。
コメントで紹介いただきまして、実際、精神障害者に殺害された場合、どんな状況になるのか?そのあたりの事が知りたくて読んでみました。

目次
序章
第一章 怒りと悲しみの四十九日
第二章 彼には殺意の意志があった
第三章 真木人の早すぎた28年
第四章 社会的正義を求めて
第五章 精神障害者を巡る環境
参考 新聞報道からみる***病院の責任(病院名は伏せました)
あとがき

といった構成です。
序章と第一章は事件の経緯が書かれています。
第三章は遺族の被害者への思いを文章にした物ですね。

第二章、第四章、第五章が精神障害者に家族を殺された場合の理不尽と思える社会の仕組みや、社会に対する提言となっています。

著者は被害者のお父様とお母様の連名となっておりますが、お父様が中心となって筆を進めているようですね。
事件発生が12月、明けて2月に発行、後書きの日付は1月29日です。
事件から2、3ヶ月でこれだけの文章を書かれているのには驚きました。
もともとが優秀なご夫婦のようですが、最愛の息子が理不尽に殺害された直後に、これだけ抑制された文章を書けるのは、相当な精神力と知性のなせる技としか思えません。

私も「ASKAの事件簿」で、何件も精神障害者による事件を書いているので、多少なりとも予備知識はあると思っていましたが、実際の体験者の話を聞くと、そこまで何も無かった事になるの?と驚く事がありますね。

刑事責任能力が無いので、刑事罰は無し、その上、賠償責任も無しと言うか賠償請求できない、遺族が受け取れるのは犯罪被害者給付金だけと言うのも、驚きです。さらに、犯人の入院していた病院からの謝罪もなしとか・・・他にも、遺族として納得のいかない事など、詳細に書かれています。

この本に書かれている提言の中で、抜けているかも?と思われるのが「心神喪失者等医療観察法」です。
2005年7月15日に施行です。事件前に施行されていますから、急いで書いたので、調べきれなかったのかもしれませんね。
194ページの「改正してほしいこと」の中に「触法精神精神障害者の入退院の判断に裁判所が関与してほしい」と言うのは「心神喪失者等医療観察法」で規定されていたと思います。
(もしかすると、著者の求める提言と意味あいが違う可能性はあります。著者は犯人を治療後に裁判を受けさせて欲しいと主張されていますね)

この本をこんな人にお勧めします。
1)精神障害者による殺人事件で、事件後にどんな事が起こるのか?を知りたい人
2)刑法第39条に興味のある人

事件のドキュメンタリーやルポを期待している人には、お勧めできません。
犯人が精神障害者の為、犯人自身の情報がほぼ欠落している為、通常の事件ルポやドキュメンタリーのような情報がありません。

で、調べてみたら、この事件のその後がわかりました。
2006年2月末、犯人の起訴が決まり、同年6月懲役25年の判決が下されました。
(この本の出版社の追跡レポートのページがあります。httpsで無いので、リンクは張りません。「矢野真木人殺人事件(いわき病院事件)・裁判レポート」こちらで検索願います)

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