25年12月30日放送 NHK 未解決事件 File.09 年末特別編 世田谷一家殺害事件
要約すると、番組は3部で構成されている。全体として、さりげなく、未解決事件の捜査は難しいからDNA情報の捜査への利用拡大と市民の情報提供が大切ですという内容ですね。
<第1部>世田谷一家殺害事件の捜査の現状と情報の募集
現在の捜査の主体は警視庁の特命捜査対策室に移っている。
この部署は未解決事件を専門に扱う部署で、現在約70の未解決時間を捜査している。
世田谷一家殺害事件の捜査を難しくしている点としては2つ
| (1) | 現場に残された指紋の照合を5000万件も行ったが、一致する人物が発見できない。韓国にも要請したが、一致する人物がいたとの報告はない。 |
| (2) | 大量の遺留品があるが、それぞれの情報がつながらない(点が線にならない)為に、遺留品から犯人の生活圏や職業を絞り混む事ができない。 |
現在は、重要な証拠に絞って重点的に捜査を進めている。
| (A) | ・謎の地蔵を誰が置いたのか?その出所を調べている。 通常の流通では、地蔵は販売時に台座と本体が接着されて販売されている為、分離した状態では販売されていない。石材店から盗難された可能性がある。 |
| (B) | ・ラグランシャツ わずか130枚しか販売されていない。購入者を特定しようとしている。 |
| (C) | ・スラセンジャー 当時、日本では販売されていない韓国製制のスニーカーを購入した人の情報を求めている。 |
| (D) | 事件当時の祖師ヶ谷公園付近の情報を求めている。 |
<第2部>最近容疑者が逮捕された事件の紹介
名古屋市西区主婦殺害事件
逮捕までに長期間かかった理由
捜査対象が5000名にまで膨れ上がり、捜査しきれていない。
捜査方針を変更して
| (1) | これまでの捜査でグレーと思われる人物の再捜査 |
| (2) | 5000人から数百名に絞り混み、DNA鑑定を行う。 |
プロファイリングも参考にしたが、プロファイリングでは容疑者の住居は現場から5km以内との判定だったが、実際の容疑者の自宅は現場から10kmはなれていた。
任意のDNA鑑定の3回目の要請で容疑者が出頭した。
神戸市北区高校生殺害事件
当時、物証がとぼしく、聞き込みをしても十分な情報が入手できなかった。
2020年12月、兵庫県警にメールが送られてきた。有力な情報が記載されていた。
容疑者は当時17歳の少年
2010年4月に青森県から移住、事件2日後の10月6日に県外に転居していた為、捜査から漏れていた。
被害者の服からDNAを検出、17歳少年のDNAの型と一致した。
情報提供者は報復を恐れて情報提供できていなかった。
<第3部>DNA鑑定の精度が上がった
DNA鑑定は混合・微量のサンプルでも鑑定できるようになった。
導入当初は200人に一人の精度だったが、現在は理論上地球上の一人を特定できる精度にまでなった。
DNA情報は現在、現場のDNAと容疑者のDNAが一致するかどうかにしかつかわれていない。
遺族団体は
・身体的特徴や年齢幅の推定などに使用できるように要望している。
アメリカでは、DNAから顔の形状を予測して、実際に容疑者を逮捕した例もある。
ASKAの感想と考察
こんな感じですね。
世田谷事件についての時間は全体の半分といったところですが、幾つか気になる情報がありました。
| (1) | 地蔵は通常、分離された状態では販売されない |
| (2) | 地蔵の設置位置が遊歩道の仙川側ではなく、崖側に現場を向いて設置されていたこと。場所としては、現場に向かいやや左手に現場を見る位置 |
| (3) | 現場の状態を示したイラスト |
| (4) | 捜査が特命捜査対策室に移っていること。 |
| (5) | 現場の指紋は全ての指10本分残っていた。 |
他には捜査手法として、重なった指紋を分離して鑑定する事ができると言うのもありましたね。
私としては(1)の情報は以前にも指摘していたが、地蔵の傾斜(迎え角)については、現状で未完成の状態なので、実際に台座と本体を接着する時や設置する時に角度を調整している可能性が高いので、あまり気にしない方が良さそうだというのが分かって良かったです。
そして(2)の現場のイラストはこれまで見た中で一番情報量が多かったので、後で詳細に検証したいと思います。
他にはどうでも良いことだけど、警視庁のPDFから捜査本部の直通電話番号が昨年消えたのは、推測ですが、捜査の主体が特命捜査対策室に移っていたからなんでしょうね。
特命と言うと「右京さん」みたいな人がいるのかと、期待が膨らみますね。
その一方で、特命捜査対策室の部屋の映像を見て愕然としました。
「紙なの?」捜査資料が全部紙のファイルってどうなの?なぜ、紙のまま運用しているのか、その理由が分からないけど、電子化すればデータの共有が可能ですよね。例えば、事件現場近くから事件直後に遠方(例えば北海道)とかに引っ越した人を捜査する場合でも、現地の所轄署と情報共有して初期捜査に協力してもらう事もやりやすいと思うんですよね。
まーその一方で、情報流出の可能性が飛躍的に増大してしまうから、それを嫌って「紙」のまま運用しているのだろうか?少なくとも、物理的にあの部屋に入らなければ情報を盗まれる事は無いからね。だとしても、バックアップは別に保存しておく必要があるはずだけど、どうなんだろう?
NHKの久しぶりの世田谷特番と思って期待していましたが、少しと言うか、大きく肩すかしな印象です。NHK自慢の視聴者からの独自情報も無いし。
とは言え、事件全体の流れとか犯人についての考察については、他局の特番「3つの影を持つ男」がほぼ、描き切ってしまいましたから、その面を全面に出しての番組作りは出来なかったのかもしれませんね。最近の特番は全体の傾向として「DNA情報の捜査への利用拡大」をアピールする感じの仕上がりになっている印象です。
私としては「DNA情報の捜査への利用拡大」は賛成です。
「究極の個人情報」と言っても、殺された被害者の人権を無視した犯人にそれを言う資格はあるんですか?と言いたいところですね。

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